2012年3月24日土曜日

アルコール依存症からの回復と、自助グループについて - Yahoo!知恵袋


 

■はじめに


アルコール依存症の治療の三本柱として、よく「自助グループと専門外来と抗酒剤」と言われます。

このうち抗酒剤は、体質的に使えない方もあり、さらに専門医であっても、積極的に勧める医師から、あまり重きを置いていない医師まで様々です。また、断酒しようとする人にとっての「転ばぬ先の杖」ですから、あくまでも補助的な治療と言えます。これは飲酒欲求抑制剤についても同じです。
そこで、アルコール依存症の治療のメインである、専門外来とともに重要な自助グループについて、説明致します。


なお、ここでは、まだ自助グループへ出席する事に対して躊躇されておられる方や、自助グループに対する素朴な疑問をお持ちの方を対象にまとめております。

 

■自助グループ誕生の物語


●それは、たった二人から始まった。

アルコール依存症からの回復を目指す自助グループであるAA(Alcoholics Anonymos)が誕生したのは、1935年6月10日と言われています。
まず、このAAの誕生物語から始めます。

アメリカのフォール街で力を発揮していた証券アナリストの ビル・ウイルソン は、大恐慌の中で全てを失ってしまいました。残ったものは、アルコール依存症としてぼろぼろになった ビル自身と、その妻だけなのです。
もっとも、ビルの酒害は、その時始まったのではありません。すでに学生時代から、かなり危ない飲酒を繰り返していたのです。
でも、アルコール問題として表面化したのが大恐慌の嵐の真っ只中だっただけの事なのです。


度重なる入退院をしながらも ビルは、ラッキーな出会いを経て、酒を切る事ができました。

そんなビルが酒を断って半年位の頃、仕事の都合で田舎町(アクロン)へ行く事になりました。
しかし、仕事は思うようにいかず、さらにたった一人で週末をその田舎町で過ごさなければならない羽目に陥ったのです。
当然ですが、ビルは、強烈な飲酒欲求に襲われました。

その時に彼を救ったのは、友人でもあり主治医でもあった医師の
「君の体験を他のアルコホリックに返したらどうかね」
というヒントだったのです。
もっとも、このヒントは、彼がその危機に陥る前にも、彼が所属していた教会で実践を始めていた事なのですが、「飲むか飲まないか」「生きるか死ぬか」 の切羽詰まった瞬間にそれが生きたのです。


彼はホテルの電話帳から、教会を探し、彼と同じようにアルコール依存症で苦しんでいる人を教えて欲しいと頼みました。そして10軒の連絡先を教えて貰いました。

すがる様な想いで電話をかけましたが、9軒目までは相手にされず、最後の一軒で見つからなければ飲むと心に決めて最後の電話をしました。この電話の相手が、AAのもう一人の創始者であるDrボブの知人だったのです。


この辺りの話は、実際に下記からお読みになられる事が良いと思います。


「Alcoholics Anonymos」 AAが出版している本です。

「現在のエスプリ」 アルコホリックスの物語
 "どん底からの回生への軌跡" 至文堂


ビルは仲間であるボブに体験を語る事によって、飲むか飲まないかという危機を回避する事ができ、ボブも、何度にも及ぶビルの訪問を経て断酒生活に入る事ができたのです。
ボブが断酒を始めたと言われる日が、1935年6月10日なのです。


その後、色々な危機はあったものの、グループとしては全世界に広がり、着実に回復者が生まれています。また、この自助グループでの回復者の誕生は、専門医療の誕生の重要なきっかけでもあるのです。


でも、すべての始まりは、たった二人の出会いだったのです。


●それはトイレの前での出会いから始まった。

後に断酒会の創始者となった松村春繁氏は、色々な人の正しい支援もあって飲酒しない期間が続きました。しかし、それでも度々、飲酒欲求に衝き動かされそうになっていました。

そんなある日、主治医の下司先生から、AAについての講演会への招待がありました。
松村氏は、期待に胸を弾ませて出席したのですが、禁酒同盟の沿革ばかりで「まだAAに触れる気配がない」とトイレに立ったのです。
用足しを済ませた松村氏は、「禁酒同盟の話は堅過ぎて、面白くない。AAの話も出ないかも知れない」と帰ろうとしたのですが、そこで出会ったのが、その講演会に来ていたもう一人の酒害者の妻だったのです。その出会いがあったからこそ、松村氏はもう一度、講演会の会場に戻った� �です。
ちょうどその時、講演はAAの話になり、また、会場の中で、まだ離脱症状で震える身体の仲間とも出会ったのです。


血液が循環するためにどのくらい時間がかかりますか

その場で松村氏は「たった今この場で、断酒グループの結成準備委員を決めてはどうでしょうか」の発言があり、それが後の「高知断酒新生会」の発足への足掛かりとなったのです。


ちょうど同じ頃、東京でも東京断酒新生会が発足しました。その後、津々浦々に断酒会が誕生し、今日に至っております。


この、トイレの前での出会い、そしてまだ震える身体で講演会を聞きに来ていた一人の仲間と松村氏との出会いが、すべての始まりだったのです。


もっともこれは小説「松村春繁」の中ですから、幾分かはフィクションも含まれているとは思われます。
しかし、著者も断酒会員の小林哲夫氏であり、ノンフィクションに近い小説ではないかとも思われます。


詳しくは下記を。
・松村春繁~断酒会初代会長~ http://www.a-h-c.jp/eshopdo/refer/refer.php?sid=udosv10&cid=14&me=&vmode=3&view_id=1309001
*一般の本屋には置いていません。ASKへ連絡を。

■自助グループはなぜ効くのか?


アルコール依存症という病気は、回復者が生まれて初めて認識されるに至った病気なのです。
それまでにも、奇跡的に酒を断った人も有るにはあるのですが、あくまでも奇跡的にです。
実際には、自助グループでの回復者が生まれて、それを医療として連携しようとし始めたのが、アルコール依存症の専門医療なのです。
これはアメリカでも日本でも同じです。

それまでにも、色々な治療を医療者は試みたのですが、これと言う決定打がないのが現実だったのです。これは、心理療法でも有名なユングでさえ、アルコール依存症者を飲まないようにする事には無力だったのです。

では、何か自助グループの効果を作り出しているか、それは下記です。


①最も飲む事が多い時間帯に、飲まない仲間の中に入っていく事にも、重要な意味があります。

多くのアルコール依存症者の、最も飲んでいる事が多い時間帯は、やはり夜19時頃から後です。この時間帯を、飲まない仲間の中に、どっぷり漬かる事に意味があります。

もっとも、生活習慣は千差万別です。生活上の都合も多いため、現在では、朝や昼間の断酒会やAAミーティングも増えてきています。


②自助グループは、先ゆく仲間との出会いの場です。回復の為には、飲酒のコントロール障害を認める事、自分を超える「力」に、自分を回復へと向かわせる「力」がある事を認める、そしてその力に任せる事が大事なのです。その「希望」を与えるものが、先ゆく仲間、言い換えると、回復者との出会いです。


③仲間にしか分かり得ない共感に基づく雰囲気の中に於いて、初めて「否認」の心の鎧を脱ぐ事が出来るのです。
「否認の病気」であるアルコール依存症からの回復には、この「否認」を克服する事が大切なのです。


④自助グループの仲間の中でこそ、回復に必要な自尊心を回復する事が出来るのです。

「何で俺だけが・・・」という「自己憐憫」では回復できません。等身大の自愛に基づく自尊心を、取り戻す事が、回復には必要なのです。


⑤自助グループで行っている事は、「自分の体験を語る」「仲間の体験を聞く」事です。この「言いっぱなし」「聞きっぱなし」こそが、語りの精神療法でもあるのです。

「語るは最高の治療」 ・・・松村語録より・・・

◆これらの事は、医療だけでは、中々できない事なのです。
言い換えると、医療が自助グループのやり方を逆に取り入れているのです。


ただし、専門医療が無駄なのではありません。ただ、役割分担上の問題なのです。

■AAと断酒会について


●グループのスタイルの違い

AAも断酒会も、目的とする事は同じです。さらに、断酒会はAAを日本的にアレンジした自助グループですから、やっている事も同じ(言いっぱなし 聞きっぱなし)です。

しかし、スタイルやグループのあり方に関しては、かなり違ったところがあります。

断酒会は登録会員制ですから、当然ですが入会金や会費もあり、役員を中心に組織的に活動されています。また、実名を名乗る事が原則です。
さらに、飲酒しての入場はお断りです。しかし、これはその支部の配慮にもより、そのまま出席を認める場合もあります。もっとも、支部長の横に座る(他のメンバーへの影響を考え)などの配慮をした上でです。
断酒会でも、「酒が止めたいけれど止められない」という仲間の苦しさは、痛いほど分かっておられますから。


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それに対してAAは、組織を持たない事を、グループの重要な約束事としており、どこからも寄付を受け付けないなど(12の伝統)、決まっております。
酒を止めたいという願望のある人なら、誰でも出席できる訳です。
また、会費などもありません。
しかし、グループを運営する為には、それなりのお金は必要です。外部からの寄付を貰わないグループですから、当然ですが、仲間の献金だけで成り立っており、ミーティング中に献金袋が回ってきます。自分で出来る範囲の小銭を入れる方が殆どです。
さらに、もし飲酒していても、ミーティングに差し支えがなく、ご本人も「酒を止めたい」と思っておられる� ��ら、出席を拒みません。

なお、グループ名である"Alcoholics Anonymos"にあるように、匿名である事を大事にされています。これは禁酒法下のアメリカで生まれたという事もありますが、実は、「一人のアルコール依存症者として出席する」という事を大事にしておられるためです。
多くは、仲間内にだけ通じるニックネームを使うのですが、実名で出席される方もあります。

上記の事から、AAが「軽い」「いい加減」、「断酒会は堅い」などと思われがちですが、実はAAも「ど真剣」で、断酒会も外見上の堅さと反対に、暖かい雰囲気に包まれているものです。

また、断酒会であっても、まだ入会するかどうか思案中の人に対しては、体験的に断酒例会に出席をしてもらっている場合も多くあります。これを「一般参加」と呼びます。

ですから、私はスタイルの違いだけである と考えております。どちらでもシックリいく方に続けて出席される事が良いのです。

ただし、スタイルの違いからくる、両者の強み、弱みは当然あります。その強みを最大限に利用する事が、最も賢明な道なのです。

●断酒会の強みと弱み

断酒会の強みは、何といっても、家族の体験談が聞ける事です。
断酒会は「夫婦で出席」とよく言われます。特に、仲間の家族からの体験談が心にしみる方が多いものです。

次の強みとしては、あくまでも体験談を語る事にあります。この体験談を日々、語り続けていく事が、「語りの精神療法」にも通じる事なのです。
また、嫌でも体験談を言わないといけない、という事も、体験談を語る訓練ともなります。

さらに断酒会の強みは、仲間同士での誘い合いが多い事です。「今度、○○支部行くけれど、一緒に行こうな!」という関係は、多いものです。
少し後ろ向きになってしまった仲間には、先ゆく仲間は配慮して声をかけます。

でも、これらの強みは、弱みにもなります。
断酒会の多くは� ��家族会員を「準会員」と位置づけている事もあり、断酒の協力者という昔のスタイルから抜けきっていない断酒会や支部も無いわけではありません。
しかし、多くの断酒会や支部でも、家族会員は家族としての「体験談」を語る努力をされています。
この点では、やはり家族だけの自助グループとしてのアラノンには及ばないのですが、この断酒会のアットホームな雰囲気や、家族会員がアルコール依存症者の体験談を聞く事ができるという強みに比べれば、断酒会の弱み以上に意義はあります。

また、仲間からの誘いで例会出席している段階を超える(主体的に断酒の為の行動を、その人が行う)事が重要です。
この場合、後から入会してきた仲間の主体性をどう引き出すかという部分は、先ゆく仲間の回復度や回復イ� ��ージに左右されやすいという事が、弱みであると言えば言えます。

●AAの強みと弱み
AAの強みとしては、やはり、敷居が低い事で、匿名性という部分や入会などという事もないという部分です。また、話をしたくなければ「パス」も可能です。

これらの一見「緩い」関係は、見た目だけなのです。本当のところ(深い部分)での仲間同士のつながりがあるのです。これが「フェローシップ」なのです。

また、家族の体験談を聞く機会が少ないのは、やや断酒会に及ばない部分ではあります。
しかし、逆に言うと、AAのメンバーのご家族は、アラノンへ、という事も多いのです。
アラノンは協力者という部分は全くなく、家族自身の為の自助グループですから、このメリットはありま� �。

次に、「パス」が出来るという部分ですが、断酒会では、嫌でも体験談を語る事になっているわけですから、AAでは逃げも可能と言えば可能です。

また、グループを離れようとした場合にも、断酒会ほど引き戻してはくれません。良い意味でも悪い意味でも個人主義なのです。

しかし、「パス」出来る事について、仲間うちでは「言った者勝ち」とも言われており、仲間の話を聞くうちに、自然と話ができるように(話をしたく)なってくるものです。

また、常に自分の為のミーティングとしての意味を踏まえて出席する事が治療的なのです。
言い換えると、回復するか否かは、その本人の責任なのです。
それがAAの個人主義のメリットを、有効に引き出すポイントなのです。


サンゴ、水、牛乳は何ですか?

最後に、AAの最大の強みは、回復の為の提案である「12ステップ」がある事です。
この提案に沿って、回復と成長を歩んでいくというものですから、断酒会での「体験談」だけ、そして先ゆく仲間の背中を見るだけではない部分があるのです。

さらに、ステップの凄さは、その全体の構成にもあります。回復の為の1、2、3ステップが出来ていないなら、それ以後のステップをしようとしても無理なのです。
この辺り、AAの経験の蓄積について、凄いものであると私は考えています。

もっとも、断酒会で活躍されている方も、ステップをご存じである事も多く、断酒会の「指針と規範」は、ステップの一番 重要な部分を、断酒会語に翻訳されたようなものなのです。

AAについて、さらに付け加えておく事として、ミーティングではやたら「神」や「ハイヤーパワー」「霊的」などと言う言葉が出てきます。ですから、宗教的なものでは?・・・ という誤解も多いものです。
しかし、これはキリスト教が当たり前であるアメリカ文化の中で生まれた関係で、その言葉にもそれが残っているだけなのです。
AAで言うところの「神」とは、単に「自分を超える力」の事なのです。

進行中のアルコール依存症者の自我は肥大しており、あたかも世界は自分を中心に回っている的な幻想があります。この幻想を取り除く為には、等身大の自我を取り戻す必要があります。そういう意味で、「自分を超える力」を認める事が大事なのです。

この自分を超える力を認める正直ささえあるなら、AAの力は使えるのです。いわゆる宗教などで言うところの「神」概念などとは、無関係と考えても良いのです。

また、AAで言うところの「霊的」という言葉に関しても、これは 人間として疎外されていない姿を描いた生き方の方向性なのです。

☆AAに関して、多くの方が持つ(であろう)疑問に関しては、この辺りではないでしょうか?

●回復者の姿の類似性
私は前の病院で、最初のアルコール依存症の専門病棟を体験しました。その時は、「断酒会は堅い」「AAが良さそう」などと考えていました。
次の病院で専門病棟に移る前、女性のアルコール依存症者への治療プログラムを立ち上げるために、マックとの連携を始めましたが、この時、断酒会での回復者とAAでの回復者との違いは、全くないと気づきました。
使う言葉が使うだけ、スタイルが違うだけなのです。この類似性は、もう一度専門病棟に移ってから、より深い確信になりました。

したがって、自助グ� �ープはどちらでも、その時(気がついた時)に、目の前にあったグループで良いのです。このグループとの出会いが重要であると考えています。

■自助グループの効果

●阪神 淡路大震災での、自助グループ出席者の回復率

自助グループに出席されている方は、ここ一番、という踏ん張りが効くものです。

16年前の阪神 淡路大震災の時、仮設住宅でのアルコール依存症者の孤独死が盛んに報道されました。ですから、その時、多くの断酒会員やAAのメンバーが孤独死したかのように思われがちですが、実は、AAや断酒会に規則的に通っておられる方の回復率は、他の時期と変わらないという調査結果があったそうです(兵庫県立の精神科病院の医師からの話)。
ですから、大震災の時であっても、自助グループへ出席を続けているアルコール依存症者は、ここ一番の強さがあるのです。

なお、大震災の時、関西の自助グループのメンバーの多くが、被災地に赴き、ミーティングや例会の開催のお手伝いをされていました。多くの方は、被災地で苦しむ仲間の所に、自分の出来る事だけをしに行ったのですが、中には、舞い上がってしまい、ちや� ��やされた自助グループメンバーは飲酒の道を歩んだそうです。
あくまでも、自分自身の例会、ミーティングを大事にされた方だけが、被災地の仲間からのパワーを、自分の断酒の糧とできたのです。
やはり「等身大」の自分を忘れた時が、再飲酒の道への入り口なのです。

●自助グループに通わず、自分の意志で酒を飲まない事との違い。

・自助グループに通わずに酒を飲まないだけでは心の回復が遅れます。
場合によっては、飲んでいた時の心の癖が抜けきらず、回復しない事も多いものです。なぜなら、自助グループは「精神科療法」でもあるからです。

・意志力に頼る、という方向性の一つの底付きが、アルコール依存症など「依存症」なのです。
これを克服するために、さらに意志力に頼� �というのは、回復とは真逆な行動なのです。

・アルコール依存症からの回復には、酒に対する無力を認める事から始まります。意志力に頼るという事自体、回復のスタートラインに立っていないと言えます。


・自助グループの力を使わずに意志力で飲まないでいるのは、常に飲酒欲求との闘いを続ける事になります。
さらに、常に心の隙や暇な時間を作らないなどという事は、人間にとって不可能な事なのです。
ですから、自助グループで断酒を継続し回復に向かう事は、不可能ではないのですが、意志力で、しかも一人だけで酒を飲まないというのは、非常に苦しく、困難で危険な事なのです。


■自助グループについて、多くの方が疑問に思われる事について


●何故、医療者がいないにも関わらず、治療的なのか?

自助グループには、専門家も治療者もいません。でも、なぜそれなのに治療的なのか、という疑問が沸いてくるかと思います。その辺りを中心にまとめました。

・人の生き方は、変えられないものです。断酒とは、飲酒をしない生き方を自ら選択し、実践し続ける事です。医療者であっても、人の人生を変える事はできないものなのです。言い換えると、酒害者自身が、仲間とともに回復の道を歩む事が大事なのです。

・断酒例会やAAのミーティングで、誤った情報が流れ、断酒期間の浅い方にとって害になるのでは? という心配を持っておられる方も多いものです。
しかし、誤った情報などは、自助グループ以外の方が多いものです。また、自助グループでの体験談で、誤った情報だけしかない、などという事は、まずありません。
誤った情報なのか、大事な事として自分の為に取り入れるかは、その出席した人の責任なのです。
また、誤った情報を流すメンバーのその後の行動を、1年も素面で見ていると、必ず、何が誤った情報であるかが分かるのです。人の姿が、何が正しいかを判定する材料となります。
まずは飲まずに自助グループに通う事でしょう。

・体験談を語る事は、すなわち「語りの精神療法」なのです。酒害に苦しんだ過去を語っている自助グループメンバーは、すでに、苦しんでいる過去のその人ではありません� ��
自分の過去を物語として、如何に編集して語るか、それは"narrative therapy"にも通じるものがあります。
人は、自分の物語を紡ぎながら、今現在を生きているのだと思います。

・専門医療と自助グループは、二人三脚。
やはりアルコール依存症は、医学的なアプローチの必要な「病気」でもあり、自助グループで、何を自分に取り入れ、何をその場に置いていくかを選別する為の基準が必要なのです。
そういう意味で、断酒の軌道が正しいか否かを、医療の立場からもチェックしていく事も重要なのです。そこに専門外来の意義があります。

●なぜ「言いっぱなし」「聞きっぱなし」が効果的なのか?

・多くの人は、どうして体験談を語るだけ、聞くだけで治療になるのか、疑問を持たれると思います。それまで必死になって酒と闘ってこられた方なら� �尚更です。
しかし、自助グループで行っている努力だけは、それまでされてきていないのです。

・回復への出発点は無力を認める事です。普通の見方からすると、酒と闘う力を強める事が断酒に向かう力と思われ勝ちですが、実際には、アルコール依存症など多くの依存症は"Addiction"と呼ばれ、その問題となっている事に神経を集中すればするほど、ますます囚われてしまうものなのです。ここに"Addiction"の悪循環があるのです。

・自助グループでの体験談は、先に説明したように、語りの精神療法でもあります。

 

■自助グループに関する情報など


●アルコール依存症からの回復の為の自助グループ

・AA(Alcoholics Anonymous) http://www.cam.hi-ho.ne.jp/aa-jso/
・断酒会 窓口は全断連 


●家族グループ

・アラノン(Al-Anon)家族グループ http://www.al-anon.or.jp/


●AAをルーツに持つ、その他の自助グループ

・Adult Children Anonymous http://aca-japan.org/docs/faq.html
・ACODA(Adult Children of Dysfunctional Families Anonymous)

[子供の時期を機能不全家族(問題のある家庭、主に児童虐待など)で過ごした成人の集まり]  
・ギャンブル依存から回復するための自助グループ GA(ギャンブラーズアノニマス)  
・Emotions Anonymous ~ 感情の問題からの回復のための12ステップグループ ~ 


★今後、少しずつ、このノートも改定していきます。

元アルコール依存症専門治療病棟 看護師より



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